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サファイアクリスタルの透明感に名門マニュファクチュールが挑む

難解極まりない超複雑な機械式時計の仕組みを“優しく”解説する『超弩級 複雑腕時計図鑑』がMEN’S EX特別編集によって発売に。ここでは、その中身をピックアップしてご紹介する。

GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)
クエーサー・ライト
縦一直線に輪列を並べたスリー ブリッジのトゥールビヨン
p74-75_main
SPEC INFORMATION
ケースだけでなく、ムーブメントも透明感豊かに仕立てられている。限定18本。ケースサイズ:46㎜ ケースの厚さ:15.25㎜ ケース素材:サファイアクリスタル ストラップ:ファブリック 巻き上げ:自動巻き 搭載キャリバー:Cal.GP09400-1128 防水性能:3気圧 振動数:毎時2万1600振動 パワーリザーブ:約60時間 ムーブメントのパーツ数:260個 石数:27石 ムーブメントの直径:36㎜ ムーブメントの厚さ:9.54㎜
価格:3256万円
問:ソーウインドジャパン
TEL:03-5211-1791

名門マニュファクチュールが複雑機構の新たな表現に挑む
1852年、スイス時計産業の聖都ラ・ショー=ド・フォンに、1人の若き時計師コンスタン・ジラールが、工房を開いた。これが、ジラール・ペルゴの直系のルーツである。彼が、特に情熱を注いだのが、トゥールビヨンであった。フランスで発明された同複雑機構のスイスにおける先駆者であるジラールは、香箱と2番車、トゥールビヨンをかつてない縦一直線に構築し、それら3つを個別に直線状のブリッジで支える構造を考案した。

これをジラール・ペルゴは、1981年に懐中時計で、1991年に腕時計で再現。以来、スリー ブリッジ・トゥールビヨンは、メゾンのアイコンとなった。ダイヤルを取り去り、ゴールド製のスリー ブリッジの全容を見せる様子は、まるで彫刻作品のごとし。さらに2020年に誕生した本作では、ケースの存在感も消し去った。

ご覧のように、透明なケースはサファイアクリスタル製。それに収めたムーブメントは、極限までオープンワークを施して、透明感豊かに仕立てている。さらにアイコンであるスリー ブリッジまでも、サファイアクリスタルで形作ってみせた。左右2つのアーチから成るブリッジは、オリジナルをモダンに再解釈した、名付けてネオブリッジ。透明なケースとブリッジの製作には、精密な切削加工と、ダイヤモンドパウダーポリッシュやケミカルポリッシュなど100以上の工程を必要とし、計200時間以上かかるという。こうして完璧な透明感を得たブリッジの1つが支えるトゥールビヨンは、宙に浮かんでいるかのよう。そのキャリッジは、わずか2.5gにまで軽量化してもいる。

透明なケースの内部に届いた光は、香箱上の希少金属ルテニウムをより華やかに煌めかせる。ゼンマイは、比重が高いホワイトゴールド製のマイクロローターが巻き上げ、60時間駆動を得ている。

モデル名にあるクエーサーとは、強烈な光を放つ天体の意。透明なスリー ブリッジは、光を受け輝く。

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